{News} 080615 台風への備え/気象現象の理解深めよ
台風への備え/気象現象の理解深めよ
掲載日:2008-6-15 11:49:00
THE JAPAN AGRICULTURAL NEWS
巨大なサイクロン「ナルギス」がミャンマーを襲い、13万人を超える死者・行方不明者を出す大災害となった。あらためて気象災害の恐ろしさを知らしめた。日本では今年、すでに台風5個の影響を受け、雨が多かった。今後、本格的な台風発生時期に向かう。気象現象に対する理解を深め、被害を受けないよう備えたい。
「大自然に対して人間は無力」といわれる。人間の力は小さいが、無力であってはならない。被害を最小限に抑える努力をしなければならない。最近の気象予報技術は、コンピューターの発達などに伴い進歩した。直近の予報精度は上がっている。中・長期予報の「大はずれ」も少なくなった。
気象予報士が誕生し、天気検定も始まって、天気情報が身近に感じられるようになった。しかし、まだ十分ではない。これからは、研究者はもっと予報の精度を上げ、その内容をいち早く伝えてほしい。市民も自分の地域の今日、明日の天気だけでなく、幅広く気象を理解する必要がある。それが被害を最小限にとどめることにつながる。
今年の台風は5月までに5個発生した。多く感じられるが、実はそれほどでもない。1971年は5月時点で9個、97年は5個、2003年と05年は4個発生している。台風は地球温暖化の影響で近年発生数が減少しているとする見方がある。半面、一個一個が大型化しているという。発生数だけでなく、その強さ、大きさ、進路が重要だ。
台風の発生に影響を与える気象現象として、太平洋の海面温が変化するエルニーニョ現象やラニーニャ現象が報道されるようになった。この冬にはラニーニャが発生した。通常、春先には終息するのだが、今年は長引いた。太平洋西部の海水温が温まっていることから、台風の発生や発達を助長するのではないかと懸念される。
台風と関連するのはこれらだけではない。両現象と付随する大気の変動である南方振動、熱帯で起きる赤道季節内振動(マッデン・ジュリアン振動)、インド洋で起きるダイポール・モード現象の影響もあり、地球規模での観察が欠かせない。学問的に未解明の課題は多いが、こうした専門的な話題を一般市民も少しずつ理解したい。そのことが、気象を理解し、災害を予測する助けになるはずだ。
日本の公的研究機関が、オーストラリアやアフリカで起きた干ばつ、豪雨を予測できていたと発表したことがあったが、一般には知らされなかった。研究中の内容で発表できなかったのかもしれないが、被害と影響が大きかっただけに、一般にも知らせてほしかった。そうすれば、対応できたかもしれない。気象関係者は、一般市民が専門的な気象現象を理解できるよう易しく説明してほしい。同時に速やかな発表を期待したい。
Source: http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/news1/article.php?storyid=579
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